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Tsuchita | Fsports

【Fトーク#6】 日本に新しいゴルフ文化を!「HONEST FEELING」が掲げる世界への挑戦

今回ゲストは、プロゴルファーで、株式会社F(エフ)と共同で設立した、スポーツマネージメント業などを展開するHONEST FEELING株式会社CEOの土屋健さん。株式会社F(エフ)の白川創一が、土屋さんと日本のゴルフ界の将来像についてグローバル目線で真剣に語り合います。

Fトークゲスト #6 土屋健氏

(HONEST FEELING株式会社CEO 土屋健さん)

HONEST FEELINGへの想い

白川:HONEST FEELING株式会社、いよいよ立ち上がりましたね、

土屋:そうですね、ついに。

白川:去年から色々とプロジェクトの話を始めてましたよね。

土屋:緊急事態宣言下の4月に会社を登記することができました。

白川:土屋さん、HONEST FEELINGという会社名がカッコ良くて面白いですよね。会社名の由来といいますか、思いをあらためて簡単に説明いただけますか?



土屋:社名を考えた時に始めは何も浮かばなくて悩んでいたのですが、僕のこれまでの人生の中でゴルフをやってきた期間が凄く長く、企業のトップの方に面倒をみていただいたり、同級生に宮里藍選手がいたり、プライベートでは田中将大選手がいることを思い浮かべてみました。

彼らに共通していることは何なんだろう?僕の考え方が彼らに比例していけば、自分の会社も大きくなっていく。素直な気持ちって凄く大事なことなのではないかな」と思うようになったのですよね。



白川:また、なぜそう思ったのですか?



土屋:いつもよく話すアスリートが真剣なモードに入ると、口数が少なくなっている。それは素直。プライベートでは爆笑している一面もある。それも1つの素直。企業のトップの方にも共通していることでもあって、人生を楽しんでいるな、と。



「人生を楽しむとは、一体どういうことなのか?」と考えた時に、「彼らは自分の素直な気持ちで生きているから一生懸命努力できるし、真っ直ぐな気持ちで向かっていけるのではないか」ということがふと閃きました。素直な気持ちか!この気持ちこそが人生のテーマになっていくような気がして、英語で少し格好良くして、HONEST FEELINGという名前を付けました。



白川:社名については喧々諤々色々とディスカッションしましたが、最終的には非常にユニークで意義深い形になりましたね。
土屋さんが素直な気持ちを持ち続けることは、所属する選手をマネジメントする立場として「選手達に大事にしてもらいたいこと」だから、会社名に現れていると思います。



土屋:ありがとうございます。



白川:また、HONEST FEELING株式会社設立の正式発表をした日が、フジサンケイクラシック・ゴルフトーナメント(9月3日〜6日)の前でしたね。

土屋:会社設立まで、僕の中ではあっという間でした。今回のコロナ禍によって世の中が色々変わっていく中で、白川さんと「ゴルフの会社を立ち上げて、選手のマネジメントを一緒にやろうよ」という話をしているところでしたからね。コロナになるまではそこまで真剣に考えていなかったのですが、この状況になって「自分の生きていく道をしっかり持っていないと駄目なのだ」と色々気づき始めました。

そこで一歩踏み出すために、「会社で自分に何ができるのか?マネジメントするにはどういう選手がいるのか?」と、よく考えるようになりました。マネジメントをやりたくても選手がすぐに集まるものだとは思っていなかったのですが、気にかけている選手と話してみると意外にも話がトントントンと進んでしまい、「本当に実現できるかもしれない」という思いが日に日に強くなったのですよね。白川さんを初めとする僕の周りの方々が背中を押してくれたことで、HONEST FEELING株式会社が立ち上げることができました。

(株式会社F 白川創一)

白川:土屋さんはプロゴルファーとして活躍をし、現在もグローバルブランドでマーケティングを担当しています。そこでの経験も大きいですよね?


土屋:そうですね。僕は今34歳なのですが、30歳でプロゴルファーを引退してから4年間ブランドのマーケティングを担当していまして、「内部ではこんなことをしてアスリートを支えているのか」ということを色々知ることができました。ここでの経験と知識を活かして、「プロゴルファーたちの力になれるのではないか」という思いもあります。



現在の日本では女子ゴルフが盛り上がっていますが、男子はそうでもありません。僕が男子ゴルフの復活に役立つことができれば、プロゴルファーを引退してからやる仕事としては「非常にやりがいがあるのではないか」と、思ったのが純粋な気持ちですね。

白川:素晴らしいですね。我々は、コロナが収まった後にどうするべきか準備をしておくことが大事だと思うし、土屋さんと「ゴルフで何か仕事をしたい」という話から何となく歯車が合ってきましたよね。個人的にはゴルフをプレーするのがとても好きですが、それよりもゴルフの奥深さ、ポテンシャルや日本人が世界でなぜ勝てないのかということに興味があります。

例えば、「ラグビーで日本人が欧米人に体格で勝てない」ことについて理論上では分かるのですが、「体格差というより技術力が重要なゴルフで日本人がなぜ勝てないのか」と考えてしまいます。もともと、「日本人が世界で活躍できる場を自分たちがクリエイトできたら素晴らしい」と思っていたので、我々が歩んできたスポーツのフィールドで「新しい文化を造る1つの力になりたい」ですよね。

(左:塩見好輝選手 中央:土屋健さん 右:伊藤有志選手)

白川:先日、フジサンケイクラシックの男子で、HONEST FEELING所属の塩見好輝選手と伊藤有志選手の2名が出場し、初日に伊藤選手がトップだったので驚きました。これは持っているなと。

土屋:HONEST FEELINGの会社設立の発表をしたその週でしたからね。速報を見る度に伊藤選手の順位が上がってトップになったことで、リリース記事を見た多くのメディアから連絡がきまして、「ぜひ取材をしたい」という声もいただきました。また、塩見選手は伊藤選手の順位を抜いて優勝争いに参戦していました。2人の活躍により、HONEST FEELINGはさらに注目を浴びて、初戦としては最高だったのではないかと思います。

白川:フジサンケイの後に、また別のツアーがあれば良かったですよね。

土屋:本当にそうですよね。

白川:これからは来年に向けてどう準備をしていくのかということになりますね。

(塩見好輝選手)

土屋:塩見選手はゴルフの名門、東北福祉大学のゴルフ部でキャプテンを務め、後輩に松山英樹君もいて部を仕切っていました。団体と個人で大学日本一となり、ゴルフ界で実力があると認められている選手になります。また、人柄が凄く良く、ゴルファーの中でも非常に格好が良いとも言われています。

(伊藤有志選手)

伊藤選手も東北福祉大出身でして、塩見選手の4つ歳下で若く、塩見選手は伊藤選手を可愛がっています。伊藤選手はゴルフ界でジャニーズ系と言われるグットルッキングな男で、性格も良いですね。

もともと彼らからスポンサーついて等の相談を受けていまして、HONEST FEELINGで一緒に頑張っていくことになり、非常に良い関係であると思います。

世界で日本の女子が強いワケ

白川:2人に活躍してもらいたいですね。そして、これから日本人が世界で戦える、PGAで勝てる、第2の松山英樹を目指す、そんな選手を「継続的に発掘して育てていきたい」という思いが我々の中にあると思います。土屋さんはゴルフ連盟でアドバイザーを務め、多くの若い優秀なゴルファーを目にしていますよね。日本のゴルフ界の将来をどう思いますか?

土屋:若い女子に実力があり、世界で上位に進出する選手がいます。もちろん男子にも十分実力ある選手が沢山いますが、なかなか活躍できません。1つの理由として、女子と男子では比較にならないほどにゴルフコースの長さやコースのセッティングが違っているからだと考えられます。



白川:なるほど。また、女子の方が男子よりもメンタルが強いですよね?



土屋:そうですよね。高校のゴルフ連盟の代表合宿を見ていても、女子の方が堂々とプレーしています。男子も、ツアーや緊張感のある場で自分なりのプレースタイルを発揮すれば活躍できると思うのですが、実際そうでもないですからね。

他には、女子が凄く楽しんでプレーをしていることも、男子との違いではないかと。男子の高校生にとても上手な選手が沢山いるので、マネジメント会社、メーカーやメディアが「どうやって男子を盛り上げていくか」というのを考えて、一致団結していく必要があると思います。

日本人よ、がっつりトレーニングだ!

白川:フィジカル面で言うと、松山英樹はUSAツアーに参加して、体が一回りもふた回りも大きくなったと思いますね。ダスティン・ジョンソンは193cmと極端に大きいですが、ジャスティン・トーマスは比較的小柄だし、でもメジャーであれだけ勝っています。日本人と比較してみて、どう思いますか?



土屋:どのスポーツでもそうだと思いますが、海外選手はガッツリとトレーニングをするじゃないですか。日本では、トレーニングをやり過ぎるとスウィングが変わるなどの懸念があるので、日本人は本気で鍛えていないイメージがあります。株式会社Fと組んで、トレーニングをしっかりやる選手がもっと増えれば、世界で通用する選手も多くなると思います。

白川:前職時代には、よくアメリカに出張して向こうのツアーをよく見ていました。ゴルフ専門のスポーツジムのテレビCMやPGAツアーを見ていても、ケプカとか何であんなにマッチョなのとか思いましたね。



プロ選手が週に4日間で決勝ラウンドまで進むことを毎週やることは、かなり大変なことです。チームプレーではなく孤独ですし、一打一打選択を迫られて、技術からメンタルまで全て準備をして整えなければならないですからね。日本にアマチュアで上手い人は沢山いるけど、プロの世界はそういう次元ではないですよね。



ゴルフというものを突き詰めていくと、基礎体力、技術、メンタルとコンディションを上げる準備が必要になります。果たしてこれらについて、日本人選手がどこまで徹底して取り組んでいるのか疑問に感じてしまいます。

土屋:外人選手は体があまりにも大きくて、飛距離が物を言うような時代になってきていて、ラフになっても攻略できる選手がいます。しかし、体が小さくて飛距離が出なければ、確率的に差が生まれてしまいますからね。それゆえ、やっぱり体を鍛えて飛距離を出すことが、世界で戦うための1つの手段であり、とても大事なのではないかと思います。海外の選手がトレーニングをしている動画が結構上がっているので、非常にそこは重要だと思いますね。

引退後のサポートも視野に

白川:所属している選手がツアーで良い成績を出してもらうことが我々にとっても嬉しいことなので、マネジメント会社として新しいスパイスもかけていきたいですよね。

日本人がメジャーで勝つ日。松山英樹君が日本人の中で限りなく近い存在だと思います。

塩見選手、伊藤選手をはじめ、これからリクルートする選手もいます。彼らが将来PGAで戦う姿を思い描きたいですよね。

土屋:そうですよね。海外のゴルフをこれだけ知ることができる時代となり、ジュニアで海外に目を向けている子も多いので、その架け橋にもなりたいですね。我々のマネジメントが、日本人が世界で勝てる1つの手段となるのであれば、しっかりやっていかなければならないと思います。

白川:ビジネスでも言えますが、日本国内だけではもう限界があります。スポーツは特に世界が主戦場となっているので、そこで羽ばたける若者たちを育てていきたいし、しっかりと結果を出せるように導いていくのが、これからのマネジメント会社の宿命であると思いますね。

土屋:個人的な要望ですが、ゴルフにはシニアがあるじゃないですか。50、60歳になってまでゴルフだけやっていれば良いだけの選手にはなってほしくないですよね。40歳になったら、ジュニアやゴルフ業界を盛り上げる1つのビジネスをできるような選手にもなってほしいですし、セカンドキャリアもしっかりサポートしていきたいですね。



塩見選手も伊藤選手も今後何をやっていけばよいかと考えていたので、HONEST FEELINGに所属するきっかけの1つにもなりました。彼らがいずれHONEST FEELINGの社員となって、これまでゴルフで培ってきた人脈や業界の力をビジネスの中で発揮してくれたらと思います。

必要なのは人間教育と人材育成

白川:その通りだと思います。選手たちが培ってきたものは膨大な財産となっていますが、これを後世に伝える仕組みが日本は下手なのですよね。日本ではどうしても確立されたフォーマットの中で教育されるので、偏差値の高い高校や大学に行きましょう。良い会社に務めて定年が60歳です。高度成長期には、これが1つのパッケージになっていて良かったのですよね。

でも、諸外国を見てみると、そんな時代はとっくに終わっていて、スタートアップで新しい事業が生まれています。Google、Apple、Facebookは50年前には存在しなかった産業だったのですが、日本ではこれらが生まれづらい環境にあります。

スポーツも何となく野球と相撲が国技としてあり、その後にJリーグができて、バスケットボールなどがプロ化されてスポーツ界が活性化されてきています。今後さらに盛り上げていくためには、それぞれのスポーツの経験者が次の時代を創るための橋渡しをする必要があると思うので、その点についてもHONEST FEELINGを成長させていくために検討していきましょう。

土屋:是非、そうしましょう。白川さん、選手への教育に関してはどう思いますか?

白川:日本でのスポーツ選手への教育システムは、遅れていますよね。例えば、ヨーロッパのサッカークラブではメディアに対する立ち振る舞い方やスポンサー、ファンとの向き合い方などの研修がしっかりと確立され徹底的に教育されています。私も前職時代に世界の「大物」サッカー選手などと仕事をする機会がありましたが、「ビジネス」をしっかりと理解されているという事を強く感じました。 日本ではそこまで行き届いていないのが現状です。特に、若い選手達の対応が良くないケースが見受けられますね。これだと、引退してから助けてくれる人が少なくなってしまうと思います。



やっぱり現役の時に、自分がフィールドでエキサイティングなコンテンツを提供するエンターテイナーであることと、プロデュースしてくれる人やサポートしてくれる人があって初めてスポーツビジネスが成り立つということに対するギブ・アンド・テイクをしっかり意識する必要がありますよね。多くの子が18歳でプロ選手になる訳ですから、彼らに最低限の社会教育をしていく責任があるという気がします。我々が人間教育や人材育成に力を入れることで、新しい時代が到来するのではないかと思います。

土屋:選手とスポンサーの関係を改めて理解していないと、引退後に選手が苦労する訳ですからね。

新しいゴルフ文化の創造へ

白川:今回、土屋さんと株式会社Fが共同で設立したことに大きなポイントがあると思います。HONEST FEELINGは、代表の土屋さんがゴルファーの先頭に立って、ニーズを汲み取りながら色々な仕掛けをしていくことになります。Fの役割は、新規事業の開拓やコンサルテーション、マーケティング全般の企画プランニング、新規スポンサーのニーズを具体化であると思います。

土屋:僕の中で、Fのバックグラウンドはかなり大きなものだと思っています。Fはトレーニングジムを確保し、多くの企業との繋がり、コンサルティングをやっています。これらは、ゴルフ畑出身の僕からすれば計り知れないことです。



ゴルフ人口が減っているので、ゴルフに興味がない人たちを巻き込んでいきたいですよね。そのためにFと一緒にやれば宣伝にもなるだろうし、ゴルフに興味が出る人が増えると思うので、この連携を凄く大事にしていきたいです。

白川:ゴルフ以外の業界とどう融合させていくのか、色々なチャンスがあると思います。これから1つ1つ積み上げていけば、従来のゴルフマネジメント会社の領域を超えることができるので、非常に楽しみですよね。

土屋:ゴルフ業界の方から、事業に関して「これ以上、アイディアが浮かばない」という相談も受けていますが、打開策はあると思うので、入り込んでいけたらビジネスチャンスが拡がりますよね。

白川:我々としては新しいスポーツ文化を創造していくために、新しい事業体やサービスを世の中にどんどん出していきたいですね。HONEST FEELINGの成功は、スポーツ界で重要なウェイトを占めてくると思います。

大好きなゴルフに携われる幸せもありつつ、何年後かにHONEST FEELINGの所属選手がオーガスタで優勝する姿を見れたら最高ですね。

土屋:それが、白川さんのHONEST FEELINGとなりますね(笑)。人それぞれの素直な気持ちによって、色々な目標が達成できるのではないかと思います。白川さんのように、純粋にもっと発言をしていけたら良いですよね。

白川:人それぞれ目指すステージがあると思いますが、やるからには世界一になるなど、最高のステージに向かって行ってほしいと思います。

土屋:世界で勝つ選手が増えればゴルフ人口も増えていきますし、ワクワクしますからね!